《原爆症認定集団訴訟@被爆64年》 の最新情報

広島・長崎に原爆が投下されて60年+α。今、被爆者に癌などさまざまな病気が発症しています。被爆者が「原爆症認定」を求めておこした原爆症認定集団訴訟について、弁護団から最新情報を提供します。

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原爆症認定集団訴訟・近畿の公判傍聴日誌-6

2004年5月7日(金)・大阪地裁

 原爆症認定集団訴訟・近畿の第6回口頭弁論が開かれた5月7日。大阪地裁に午前10時半すぎ着き、いつものように1階備え付けの民事部公判日程表をのぞいていて気づいた。あれっ、裁判長が代わっている!
 本館2階の202号法廷で、午前11時から公判は始まった。裁判長は山田知司氏から西川知一郎氏に交代していた。この場で初めて知った傍聴者も多く、新裁判長にみなの視線が注がれた。これで最初から変わらないのは陪席の一人、田中健治氏だけとなった。裁判官もやはり転勤の時節なのか。それにしても重要裁判なのに。各地の原爆訴訟ではどうなのだろう、ちょっと気になった。西川裁判長はやや早口で、てきぱきと審理を進めた。

 この日、原告側はまず藤原精吾・弁護団長が「裁判長が交代し、また提訴からほぼ1年の節目にあたり審理と裁判の進行について若干お願いしたい」と前置きし、「毎回、原告被爆者が被災状況を詳細に語ってきたが、これは被爆の現実のごくごく一部にすぎない。原告らの背後には、一瞬のうちに焼かれ、ものも言えぬまま死んでいった何十万もの人たちの声が横たわっていることを忘れないでもらいたい」と述べた。そして、第1回公判の意見陳述でも強調した「被爆の現実を直視し、援護法の精神に則って、早期に充実した判決を」とあらためて訴え、被告は審理を迅速に進める上で明確な答弁を避けており、例えば03年10月10日の求釈明申立書にいまだ全面的に答えていない、などと国側の態度を批判した。
 続いて、尾藤廣喜弁護士が、3月31日、東京地裁(市村陽典裁判長)が下した「東数男原爆症裁判」の原告勝訴判決(不当にも国は控訴)の意義を解明。この判決の特徴は、①原爆放射線の人体への影響等に関する科学的知見及び経験則はいまだ限られたものにとどまっている、として原爆症認定に必要な「起因性」の要件を実質的に軽減したこと②誘導放射能や内部被爆の重要性を認め、認定審査にあたってDS86と「しきい値」の機械的適用は間違いと指摘した――点にあるとし、長崎・松谷訴訟(最高裁で原告勝訴)、京都・小西訴訟(大阪高裁で原告勝訴)に続いて「もはや国のやり方は根本的に破綻したのだ。原告の要求にただちに答えるべきだ」と主張した。
 原告弁護団はこの日、訴訟の重要な争点になっている国の認定審査の物差し・原因確率論のからくりを解明、批判する手段として、パワーポイントを使用した。いわば電子黒板の活用だ。担当したのは有馬純也弁護士。「原爆症訴訟―DS86・原因確率について」のタイトルで、「原因確率とは?」から始まって、DS86や放射線影響研究所(放影研)疫学調査の問題点を中心に、簡明な説明文を図解入りで廷内に設置したスライド上に展開しながら約25分間、解説。裁判官も身を乗り出すようにして聞き入っていた。後刻の報告集会では傍聴者らから「とても分かりやすかった」と好評だった。
 被告側は第5準備書面を提出した。これに対して原告弁護団はできるだけ早く実態的審理に入ることを目指し、総論的立場からの以下3人の証人申請を行った。
 ▽肥田舜太郎氏(医師として多くの被爆者の診療、救援にあたる。自らも被爆者)
 ▽安斎育郎氏(立命館大教授。物理学・放射線防護の専門。低線量被爆問題に詳しい)
 ▽沢田昭二氏(被爆者。名古屋大名誉教授。物理学。原爆症認定基準の科学的批判)
 西川裁判長は、証人申請については6月2日(水)の裁判所側と原告・被告代理人3者の公判進行協議の場で相談したいと述べ、次回公判は予定通り6月23日(水)午前11時から、と確認して正午前、閉廷した。この日の原告、傍聴者はざっと50人だった。

 大阪弁護士会館で午後0時10分から報告集会が開かれた。新裁判長の印象や有馬弁護士が取り組んだパワーポイントなどについて感想、意見の交換がしばらく続いた。そこへ閉廷後、西川裁判長の意向でさっそく行われた進行協議に臨んでいた藤原団長、尾藤幹事長が戻ってきて内容を報告した。新裁判長は「再来年3月には判決をしたい。総論の証拠調べは今年中に終えたい。各論の証拠調べは来年8月には終え、あと半年かけて判決を書きたい」との方針を示したという。さらに6月2日の進行協議の場ではDS86問題の勉強もしたい、との意向を示したという。弁護団は「かなりのハイペースになっていきそうだ。裁判の迅速化は、われわれが主張してきた成果でもある。もちろん被爆の現実を直視せよ、との基本に立ってしっかり戦っていきたい」としている。
 新裁判長はどんな人だろう。報告を聞きながら頭の中であれこれ思い巡らし、とりあえず達した素人的結論は、こうだった。裁判の迅速化が誰のために必要か真に理解している人か、迅速化自体が目的になってしまっている人か、それが問題だ。
 私は最初の訴状に書かれた「原告らとその思い」の一節をあらためてかみしめる。原告ら被爆者はなぜ立ち上がったのか。
「それは、被爆者にとって、原爆により自分達の代わりになったかもしれないで死んでいった人々に報いることである。また、それは、戦後の自ら受けた苦しみを国に認めさせることにより、自分たちと同じ苦しみを世界中の誰にも再び味あわせることのないように願って、核兵器のない世界をつくる礎となろうとする被爆者の強い意志に基づくものなのである」
 支援ネットの代表が、公正な判断を大阪地裁に要請する署名が新たに1550筆集まり、5月6日に提出したと報告した。累計9186筆。もう一息で10000筆だ、頑張ろう、と決意を固めて午後1時、報告集会は散会した。
<追記>前回、「弁護士の方の弁論の声がちょっと小さい」との声が傍聴者の中から出た。今回はよく聞こえた。原告弁護団のみなさん、ありがとうございます。
以上
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